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モロッコでの生活、ほんで商売?


by keibunkin

恋におちてモロッコー深入りは禁物編

今日は二人で山に行く日。
7時半に待ち合わせしたけど、モロッコ君はまだこないな。
30分して、ホテルに迎えに彼はやってきた。
昨日寝たの?というぐらいむっちゃ眠そうな顔で登場。

えっらい仰山荷物を持ってきてるなあ。何入ってんの?
寒いと行けないから君のジャケットもセータも持ってきたよ。
(なんて、ええーやつ?うるうる)

てくてくとバス停まで歩いていく。途中ジャマエルフナ広場でオレンジジュースを飲む。グラス一杯入って3DH(20セント)。やっすいし、おいしいし、健康的やわ。

バス停までの道のり、ここでも警察の目を避けるため、私は距離を離して彼に付いていった。まるで女私立探偵、尾行してるみたいだわ。
バス停に着くと、あれっ、奇麗なおねえさんを発見。見つめると彼女も私を見つけて話しかけてきた。よく考えるとあのグランドホテルタジンのカウンターで働いていた子だわ。

「%ek^&gwdx,voke#(w$j@」
(興奮して話しかけてきたけど、私全然チンプンカンプンよ。)
偶然にも私達と同じバスなんだって。モロッコ君が通訳になってくれた。

5分後バスが到着。

さていよいよバスに乗る混むぞ。ここはちょっとモロッコ君に活躍してもらわな。彼は任務を判っており、ドアが空いた瞬間モロッコ君いきなり飛び込みポーズ。私とホテルタジンの姉ちゃんは後ろから押せど押せど中々なかには入り込めない。ドア寸前の所で右から左から割り込みされる。年老いたババアまでもがごっつい力で割り込んでくるくる。

10分後ようやく、バスの中に入れた。座席にはシラーっとした顔でおっさん連中が皆座っていた。モロッコ君、もちろん私とホテルタジン姉ちゃんの席を取っててくれた。頼もしいなあ!(みんな乗り終えるのに30分は掛かってる。皆並んで入ったらどんだけ早いか)

バス降り際、ホテルタジン姉ちゃんが家にランチを食べおいでと誘ってくれた。けど、山に行きたいから丁重にお断りした。

バスに乗る事約50分、降りた停留所からミニバスに乗って更に山道を約30分。
着いたわ着いたわ右も左も山だらけ。吊り橋を渡り、畑を通り抜け、人家の裏手を回り、そして上へ上へと昇っていった。途中ちびっ子共が崖の向こうから私ら見てなんか叫んでいる。たぶん「お前の母さんでべそー」、「ここまで着てみベロベロバー」みたいな事であろう。その内石までほってきた。崖の向こう側、約300mは離れてるなあ。ぜんぜん届かんと思って横見たらモロッコ君必死になって石ほりかえしてる。「お前はアホか、子供の相手なんかしなさんな。大人が投げたら子供がまた真似するやろ。」ほんま、どっちが子供やねん。

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山の頂点に来るとモロッコ君「やっぱ山の空気は最高だな。僕は本当は田舎に住みたいよ。」と言った。私は「モロッコくん、このくに何処行っても全部田舎やん」と思ったが言わなかった。昇りの急な山道、山道といっても道はなく適当に斜面にエッジを掛けながら上に上がって行った。行きがよいよい帰りが怖いと言うが、昇っていくのは良いのだが下りがだんだん心配になってきた。頂上は諦め、この辺で下るとすることに。ほとんど尻餅をつきながら降りていく羽目に。靴に一杯砂を入れてようやく麓まで辿り着いた私達。村のちびっ子達が集まってきて、我れ先と帰り道を教えてくれた。

近くの村に到着。ここで私はハモン(銭湯)に行った。なんとモロッコに韓国垢擦りがあったのよ。入り口(男女別)でお金を払う。その時垢擦り用のミトンとオリーブでできたジェリー状石けんを購入。中に入り服を脱ぐ。そして浴室に入っていく。中は蒸気がムシムシして、子供のはしゃぎ声が聞こえる。大きな部屋(スカッシュコートサイズ)が二つ。大きなバケツが何十個とあちらこちらにある。女の人はそのバケツで蛇口からお湯を汲みながら自分の縄張りに持っていきそこで身体を洗っている。私はマッサージ(垢擦り)をお願いした。ヘソまである二つの萎んだスイカをゆらゆらさせながら上半身裸の黒パン一丁のおばさんが(推定50歳、本間は30代?)が上手なジェスチャーでここに寝ろと私に命令。ほんで手の平から始まって、首筋、胸、お腹、脚を垢擦りミトンで洗ってくれた後、秋刀魚のように裏返しされ、背中、お尻、脚と洗ってくれた。顔までゴシゴシ洗ってくれて顔の毛細血管が切れるのではないかと少し心配した。快適じゃー、モロッコに垢擦りがあるなんて、ここで一生暮らせるかも!

お風呂の後、二人してマラケッシュに戻る。

夕食はジャマエルフナ広場にて。広場じゃ蛇使いだの、漫才師だの、曲芸師だの、ゲイのの腰振りダンサーだの色々な出し物があり、その出し物の回りを人の円が取り囲んでいた。私とモロッコ君は一つの円に入ってみた。

背の低い(150センチ)白髪短毛のおっちゃんがこれまた半身裸でたっていた。顔はクチャおじさんみたいな顔だった。何をするのかまだわからない。神経質っぽく回りの人の円を調整してみているようだ。君はこっちにもう少しよって、君は少し後ろに下がって。そんなに大それたパフォーマンスをするのか乞うご期待。私の目と目があって、おっちゃんは私に一番特等席といって、円の中に座らせてくれた。それからおっちゃん、自分のジーズンを脱ぎだした。全裸かいな!と思いきや下にパンツを穿いている。それも雑巾みたいな薄汚れた茶色のパンツだった。パンツの紐を結び直して、また円を調整している、前置きが長いなあ。その時、バイクに乗ったお兄さんが円の中をバイクを噴かして横切っていった。人並みに会って中々前に進めない状態。それを見たクチャおじさん、気に入らなかったみたいでそのバイク野郎にイチャモン付けに行った。付けに行ったと言うても負け犬の遠吠えのように、遠くから「どこに入ってきよるんじゃ。おらー、逃げんのかカス、かかってこんのかボケ」とホザイているように見える。バイク野郎も黙っていない。売られた喧嘩、勝ってやろうじゃんかとバイクを止め、クチャおじさんの所に戻ってくる様子。回りの人ごみも「ええやんけ、忘れてやれや」と引き止めてるが、クチャおじさんが更に「何処からでも掛かってこい」と岡八郎ポーズを取ってる。一旦帰ろうとしたバイク野郎もまるでその言葉に吊られたように、また引き返してきた。私らもうかれこれあんたのパフォーマンスを見るのにこんなに待ってんねんで、ここで喧嘩されてパフォーマンスが見られへんなったら、面白しろないやんけ。と思い、私はモロッコ君に「喧嘩とめてきて」という。

モロッコ君、さっそうとクチャおじさんとバイク野郎の間に入る。おお、すごいやんけ。なんとかバイク野郎を言い宥め円の外に追い出す。こうなったら私も座ってる場合じゃないわ。私の色気でクチャおじさんを落ち着けさせないと。(なんちゃって)と立ち上がってクチャおじさんの側に寄り、まあまあまあと機嫌をとる。しかし、負け犬の遠吠え同士がシーソのように行ったり来たりしてるのも、だんだんあほらしく覚え、モロッコ君を連れてその円からでることにした。
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喧嘩するんやったらとっととしろよ!

気分を取り直して私達二人はバーに入る事に。このバーはモロッコ君の従兄弟のヤーヤーのお勧めのバーだそうな。

入ると、そこにはカラオケマシーンがあった。
ひぇー、誰か歌うたうんかいなあ。(私苦手やのよ)

奥のテーブルに座ってビールとヴォッカトニックを飲んだ。暫くすると歌手がきた。(よかった素人のカラオケじゃなかったんやわ)。歌手が演歌を歌いだした。(ひぇー演歌バーやったんや)。でもモロッコ君超ご機嫌。私に踊ろうと誘ってきた。演歌じゃおどれん。「私踊れないの。あなた踊りなさいよ。」と言ったもんだから、彼本間に踊りだした。ひぇー。

モロッコダンス、肩を前後にフリフリしてる。インドのクビ振りダンスと似てる。歌もなんとなくインドの演歌に似てるような気がする。

で誘われて私も踊ってしもた。ええい、こうなったら成るようになるわい。ヴォッカトニック駆けつけ3杯よ。旅の恥の掻き捨てとはよう言った。

これ以上踊れんと演歌バーをでることに。私のホテルまで歩いて送ってくれる事に成った。まあ断っても聞いてくれへんから素直に送ってもらうわね。

途中、従兄弟のヤーヤーが現れた(何処からでも現れてくるなあ)。3人で道路を歩いていた。で何処からか誰が駆けっこが早いかという話になった。言ってる最中にもう私とモロッコ君は走り出している。「向こうの道路までどっちが早いか!」見ると約300mぐらいはあるな。全力疾走で走る私。負けてたまるかとおばちゃんおもいっきりダッシュ。これでもかこれでもかと二人は殆どタイ。道路に付いた時点で私はスローダウン。それなのにモロッコ君はまだ前に全力疾走。振り向いて「僕の方が早い」と言うたとたん、前にあった木にぶち当たってしゃがみ込む。ギャはははあと笑って駆け寄る私。あほちゃうかあ、道路までっていうからそこで終わってるやんか。と彼の顔を見ると額から血がダラリ。あれまあ、笑ってる場合じゃないわと笑いを堪える私。「大丈夫?」と心配そうに聞いた物の心の中ではまだ笑ってる。でも全然大丈夫じゃない。痛いと辛そうに我慢しているモロッコ君。そしてヤーヤーが来た。よく見ると瞼の上が切れてるやんか。「あらまあ、病院に連れて行かな」と慌てる私。ヤーヤーが覗き込んでまるで子供をあやすように「大丈夫大丈夫、小さい怪我だよ、なんてことない、心配しないように、痛くないよー」とティッシュで血を拭いてくれた。

どう見ても、面白い話やないの。こんなんおらんで。駆けっこ競争して木に頭をぶつける奴なんて。 

翌朝、律儀にもホテルに着てくれてお別れの挨拶をしてくれたモロッコ君。顔に3つ4つ赤く傷跡が残っていた。

私はなんとなくこれ以上モロッコに折れへん方がいいのだと思い、急遽モロッコを離れる事に決めた。
短い間でしたがモロッコのええ思い出ができてよかったわ。モロッコ君に会えたのも良かった良かった。

狭い世間、またの再会を祈ってるよ。
by keibunkin | 2008-05-26 03:13 | モロッコ