モロッコでの生活、ほんで商売?


by keibunkin

満天の星

今日はオフィスの改装を手伝ってくれているおじさん(名前はしらない)の家で夜7時の朝食を呼ばれる事になった。
夜7時の朝食っていうのは、9月の月曜日からラマダンが始まって朝4時から夜7時まで水も食べ物も口にしてはならない事になっている。なので夜の7時が彼らの朝食となる。もちろん私は例外で、朝ご飯も昼ご飯もしっかり食べてその上ビールも飲んでいる。外国人の特権だ。相棒のモロッコ君も全然信仰心がない数少ない反ラマダンの1人。昼間は二人家に隠れてこそこそと食べている。彼が食べてる所を見られると嘘ではなく本当に牢屋行きになるらしい。
さて、買ったオフィスの大きさは約450sqf。玄関パティオが150sqfあって実質300sqf、それと別に地下450sqf付いている。 私達は1階をオフィスにして、地下をとりあえずの寝床にすることに決めた。地下といっても天井が2mしかないので床のコンクリートを剥がし40cm掘って天井を高くする事に。それとなくてはならないトイレシャワーも設置することにした。トイレを付けるとなると下水道を繋げなくてはいけない。トイレが地下にあって政府の下水道管だと位置が高すぎるのでなんと井戸を掘る事になった。
「井戸?」
肥だめじゃないけど、3mの井戸を掘ってここに汚水を流し込むというのだ。ここではそんなの普通なんだって。
工事費用についてモロッコ君と2人、業者や知り合いの人に値段を聞いて回った。外国人の私を見てみんな結構な値段を吹っかけてくる。15000ディラン、13000ディラン。中に1人むっちゃ安い値段をくれたのがこのおじさんだ。地下400sqfの床を40cm掘るのと井戸を掘るので6日間、費用は1500ディランと来たもんだ。(1ディラン=1HK$)
おじさんの見かけを説明すると色濃い顔に深い皺、身長160cmぐらいの身の丈に、元の色が何色だったのかわからない色褪せた埃っぽいシャツとパンツを履いて、ボサボサ頭に野球帽、年齢はたぶん50歳ぐらい。一瞬見てすぐ判るバリバリのブルーカラー労働者だ。
設計図なんて絶対ないし、本間に任して大丈夫かと心配になったが、過去に数えきれないほど井戸を掘った名人と聞いてとりあえずお願いする事にした。

翌日、おじさんはツルハシ1本と水筒を一本持ってきた。
ツルハシ一本?
道具はこれだけ?と目を丸くする私。「本間かいな?なんとでもやってくれ」と私も半分やけくそ。
そやけど、見る見るうちにツルハシ一本でコンクリートの床をガンガン潰していって、あっというまに砂の山を作っていった。
「すっげえー!」
翌日、助っ人も2人ほど連れてきた。見ると10代の子供二人。(後で聞くとこの二人はおじさんの息子らしい)6日間昼間は飲まず食わずで本当に床40cmと井戸を掘ってしまった。捨てた砂利ゴミはトラック6台分。見上げたもんだ。途中私も少しは手伝ったけど、1時間でクタクタ。ツルハシは重い、シャベルも重い、トンカチもむっちゃ重い。おかげで私の首は痛くて回らなくなった。
おじさんと子供達の勤労ぶりを見て、更に仕事をお願いする事にした。コンクリート敷きと壁作り。おじさんは壊すだけではなく作ることもできるという。
日当200、2人の瘤付きで一週間で1400ディランで雇う事になった。

そして今日、地下で一生懸命石を削っている私にクスクスを作るから今晩夜7時家に食べおいでと誘ってくれた。お言葉に甘えて材料は持参するのでその招待を受けることにした。

夕方モロッコ君と二人でおじさんの家に行ってきました。みんなお腹を空かせて待たせては悪いと6時45分に到着。おじさんの家はタブン通りから1キロ離れた丘の上にあって、コンクリートブロックを2m積み重ねた700sqfの土地に屋根付きの部屋が一つあった。中は見てないけどその中にキッチンとトイレがあると私は想像。中庭に、といっても屋根が付いていないから中庭に見えるのだが、毛布(絨毯?)が4枚ほど敷いていあった。私もモロッコ生活が長くなり、そこがダイニングルームと直ぐに察知できるようなった。靴を脱いでその毛布の上に座る。コンクリートブロックに背持たれると昼間の太陽の温もりがまだ感じられた。子供2人が小さな茶托を運んできて、次から次と飲み物や食べ物を運んでくれた。ファンタオレンジみたいな奇抜いオレンジ色のソーダ水が1.5Lペットボトル2本。破れたラベルと年季が入ったペットボトルの具合からすると、自家製オレンジシュースっぽかった。それからコーヒが入ったティーポット、砂糖入りミルクが入ったプラスティック製茶瓶、コップが4つお盆に乗って運んでこられ、お皿に乗ったオレンジとリンゴがやってきた。
すごいおもてなしだ。
その他にラマダンの習慣だと思われる甘い小麦粉を揚げたお菓子やナツメグが出てきて、チョコレート入りデニッシュパンと平たい丸パンがでてきた。私はメインのクスクスがたくさん食べれるように、控え見に少しづつを頂いた。
日が暮れてきて、辺りはだんだんと暗くなり星がちらほら輝き始めた。ミルクコーヒを3杯ぐらいお変わりした頃には、すっかり暗くなっていて、満天の星空の下私達は乾燥した暖かい風に吹かれてただボーット毛布の上で座っていた。
クスクスは何時になったらくるんだろう。
辺りはかなり暗くなってきてる。迎えに座っているおじさんの顔も暗くて殆ど見えなくなった。ここには電気がないみたいや。一向に電気を付ける気配がない。おじさんの家族は妻、娘1人、息子2人の5人家族。毎晩の電気がない生活を少し想像してみた。ろうそくは付けるのだろうか?
暫くして長男がガス灯の用意を始めた。たぶんこれがガス灯と言うんだろう。私は初めてみるからそれがガス灯と呼ぶのか判らない。
小さめのプロパンガスの上に細い曲がった鉄のパイプが白鳥の首みたいに付いてあって、その先になんか紙みたいなもんが巻いてあった。その紙みたいな奴にロウソクで火をつけた。紙はゆっくり燃え始めてやがて消えかけていて、それが灯りの役目をするのか私には全然訳が分からなかった。モロッコ君は「It will be a very nice light.」と言うが、私には燃えかすがパイプを通って爆発するんではないかと心配になった。
(余談になるが一昨日、買ったばかりのガスコンロにプロパンガスを付けて火を付けてもらったら、バーンと大きな音が鳴って、モロッコ君の腕の毛が全部燃えてしまった。)
長男が起用に鉄パイプの先にぶら下がった燃えた紙をロウソクで炙っている。するとだんだん本間に白く光が出てきた。近くまで行って見るとさっきの紙はなんか白い鉄の網に変わって見た所電球みたいになってきた。へえ、凄いもんやなあ。
風が吹くとガス灯が消えてしまうので、コンクリートブロックの隅に置いた。さっきほど明るくなったのだが、明るくなっているのはその隅だけであった。
でもまだまだクスクスはこない。私達が着てから1時間は過ぎてる。やっぱりさっきのお茶菓子は朝食で、ひょっとして昼食になるまで時間がかかのかしら。
私は彼らの話す言葉が全然判らないので、失礼して毛布の上でごろんとなって流れ星を数える事にした。
透き通った空に星は大きい星から小さい星までざっと500個ぐらい見えた。さて、流れ星を数えようかなあと思ったら、今日は調子がよく直ぐに1個目が見えた。すーっと縦に上から下に約5cmほど白い線を引いた。流れ星を見るとむっちゃ幸せな気分になる。5分ほどニタニタしながら星を見ていた。そして退屈になったから寝る事にした。
暫くたって、クスクスがやってきた。みんな静かに黙々と食べる。でもさっきのパンとミルクコーヒとうたた寝とで空腹感がなくなってしまって、すぐにお腹が一杯になってしまった。
食べ終わると同時に私達はおじさんにお礼を言って帰る事に。
ここの家のすぐ横に電柱があって、そこから電気を引くのに3000ディランもするという。全く政府の税金泥棒。なんでまたそんな高い金額を付けるんだろう!
帰りの道でモロッコ君が「僕たちの商売が旨く行ったらおじさんの家に電気をつけてあげよう。」と言った。
空にはダイヤモンドみたいにでっかい星とクッキリ三日月が見えた。
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by keibunkin | 2008-09-07 01:40 | モロッコ