モロッコでの生活、ほんで商売?


by keibunkin

モロッコでカバン無くす? (2)

いよいよ交通局官舎の中へ入るぞ。

官舎の入り口で制服を着た女性からIDチェックがあった。埃っぽい建物で昼間だからか薄暗く、築30年といったところか。備え付けられてあるエレベータの速度がおそろしいほど遅かったので階段で4階まで上がることにした。2段飛ばしで走って上がるモロッコ君と対象に老婆のように階段を上がって行く私。4階の廊下を少し進んだ左側の部屋に中にモロッコ君を見つけた。

部屋の中に数人の人がいた。
アラビア語ベラベラと会話がすすむ。
40歳ぐらいの女性が一番偉そうだ。どうやらここは彼女の個室オフィスみたい。大きなデスクと椅子と書類や本らしき物があったような。その横にもう一人女性が。モロッコ人にしては垢抜けた感じのスーツを着込んだ30代女性。髪の毛もスカーフに包まれていず少しブロンドがかかった明るい色だったような気がする。それから男(おっさん)3人が入り口の横で並んで立っている。見るからに役立たずのおっさん達。お寿司でいうと、かんぴょう巻き、きゅうり巻き、お新香巻き。それに比べ女の人は太巻きか、カリフォルニアロールと言った感じになるだろうか。

太巻きの女お役人さんは部屋を入ったり、出たり。どうやらモロッコ君にこの書類は間違っていると言っている様子。モロッコ君は真っ青。書類のやり直しにガッカリしているのではなく、なによりも私にどやされる事を恐れているみたいだ。彼の目がそれを語っていた。

始めは様子を伺っていた私だが、だれも私の存在を無視して前に前に話が進んでいる様子。何もわからず無駄足となってまたワルザザートに戻るかと思うと気持ちがわなわなと燃え上がって来た。

「ちょっと、ちょっと、誰かどうなっているのか、説明してもらえません?書類に何か落ち度でもあるのですか?私達はワルザザートからわざわざ着ていて、ここに来る前にきちんと会計会社とワルザザートの交通局に書類が正しいかどうかチェックをしてもらっているんです。過去にすでに私達は3回もここラバットに来て、その度にあの書類、この書類と言われています。今回書類に何が問題があるのか、どのような書類が必要なのかはっきり言ってもらわないとラバットワルザザートを何回も行ったり来たりすることになってしまいます。お互い時間の無駄とお金の無駄をなくす為に今回、書類に関してきっちりと説明してくれませんか?」とまるで昔の吉本新喜劇で演じた山田スミ子の様にこんだけ長い台詞を一気に喋ってやった。

だが英語で言ったので、誰も返事はないだろうなあと思ったが、なんとカリフォルニアロールがそれに英語で答えてくれた。

「今回提出して頂いた申請用紙は古い物で、用紙が最近新しく変わったそうです。新しい用紙は現在ウェブサイトでダウンロードできるそうなのでそれを使ってやり直してください。新しい用紙との違いは最後のページには政府のスタンプが既に印字されているのでそれがないと書類受理できないんです。」

「あほくさ!用紙が新しく変わったなんて、誰がわかんねん。そんなん前から言うとけよ、ぼけ。それだけの為にまだワルザザートまで戻らなあかんのかよ。ええかげんにせえよ。外国人や思てなめとんか。」と10倍ぐらい気持ちを抑えて優しい言い回しに転換し英語で返した所、またアラビア語でピーチクパーチク話が交わさり、月曜日に新しい用紙を持ってもう一度着て頂ければ書類を受理してくれるとこのこと。

ほう。ちょっとは一安心。

しかしその書類には3人(モロッコ君、私ともう一人社員)のサインが必要なので、急遽ニューフェイスのマリアンがワルザザートからラバットの週末をかけて着てもらう事になった。

それも大変な話やな。

とにかく、月曜日にもういちどここ交通局に用紙を持って来さえすれば、念願の申請書類受理までに辿り着ける事。とにかく一歩進んだ気がする。山頂は見えた。頂上まで後一息だ。

話が終わり、私はとっとと部屋を出た。モロッコ君は何やら先ほどのおっさん3人組とまだ話をしている。私は一人で先に先来た階段を降り官舎の玄関に向かった。

玄関にくるとバンのおじさんが立っていて私と目が合うなり「どうやった?」と聞いて来た。

「あかんあかん、また別の書類をもってきて月曜日に戻って来なあかん」
というと、おじさんは少しホッとした様子。そりゃそうやろうなあ。おじさんここでもう3日3晩もおるねんもん。娘(?)ごときが横から来てとっととハンコを貰って返って行ったらそりゃええ気はせえへんやろうな。

モロッコ君と私は交通局を後にした。

さて、さきほどのかんぴょう、きゅうり、お新香巻きはなんやったんだろう?おっさん3人揃ってドアの横でニコニコ立っていて、発言も助言も何も無かった人達。モロッコ君いわく、あれがいわゆる「コネクション」。彼らが居る事で申請手続きが捗るそうな。ほんまかいな?なんの役も立ってなかったような気がするが。あの日、彼奴らがくるのを待つのに2時間もかかっているのよ。あほらしい。世の中狂っている。

つづく。
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by keibunkin | 2009-01-13 22:28 | モロッコ